開業物件を探す前に明確にしておくべきことがある。だが私は開業前、何一つ明確にしないうちに物件を探し始めていた。私の“物件を探して欲しい”という要求に、親友以外の誰一人として“その前に確認しておきたいことがある”などと言わなかったからだ。
教訓、
「最初に具体的な予算を聞いてこないヤツは信用できない」
自己資金がどれだけ用意できるか明確にしえおくこと。親族から借りられるお金も含めて自己資金として考えて良い。融資の総額の可能な範囲がこれで算出できる。
目的は、この自己資金を元に、全ての資金計画が始まるからだ。先に書いたように、全体の資金調達能力が把握できなければ、開業する地域も絞り込めない。もちろん、自費治療を中心とした開業をしようとするのであれば、地域も自ずと絞られてはくるだろう。しかし、地域が絞られても、絞られた地域に見合うだけの資金が用意できなければ、机上の空論だ。
親から借りたくないなどという子供じみたプライドは持つべきではない。自己資金は多ければ多いほど良い。ただし、贈与税がかからないように、賃借契約をきちんと締結し、金利も支払うことだ。ちなみに、私は親から1000万円を借りた。もちろん、現在は金利も含めて全額を返済している。
金融機関からの借り入れは、保証人がいなければ不可能だ。ある大手銀行は無担保、無保証人で借り入れをできるが、金利がべらぼうに高いので、あまり奨められない。保証人の最低条件は、“収入があり、65歳未満である”ことらしい。これをクリアしなければ物的資産が担保として必要になる場合がほとんどだ。しかし、各金融機関で方針が微妙に異なるそうなので注意が必要。また、テナントで開業する場合も必ず連帯保証人は必要だ。
借入先の順番は、一般的に、親族、国民生活金融公庫、保証協会・信用金庫、大手銀行の順番で借り入れをトライすることを奨める。それでも足りない時は、リース会社を利用するのも一つの方法だが、基本的には返済期間も短く金利も高いので、あまり奨めない。特に、リース会社のM社はやめた方が良い。開業支援をうたいながら、医師を他業者に紹介し、法外な紹介料を要求しているそうだ。M社を退社した人間に確かめたが、“事実”だと明言していた。医師を食い物にする企業には十分注意すること!
後輩たちよ、最後になったがこれが一番大切!どういう人生をおくりたいかが、最も重要。単に“開業したい”だけでは絶対にダメ。病院の激務に耐えられなくなったから開業するのもダメ。とにかく“逃げ”の開業、中途半端な覚悟の開業は必ず失敗する。
現在の年収をしっかり把握しているか、開業後の年収について見通しを立てているか、経済について配偶者としっかりコンセンサスをとれているか、自分の子供の教育や将来について考慮しているか、など考えるべきことをすべて明確にしていかなければならない。