同じモノを買うのなら安いに越したことは無い。同じ46インチの薄型液晶テレビを家電量販店で購入しようと思うなら、複数の家電量販店を巡り一番安いところで買うのは当たり前だ。つまり、同じ品質の同じモノなら、数字で解決することができる。
しかし、何事も値切れば良い、というものではない。相手は人間だ。我々は値切った分だけ、得と損があることを認識しておくべきだ。
例えば、医療機器の場合を考えてほしい。高価な医療機器も、薄型液晶テレビ購入と同じ論理、だと思ったら大間違いだ。ギリギリでも適正利益を確保しなければならない責務が、医療機器メーカーにも、その担当者にも存在する。その最低限の彼等の利益をも値切ろうとするならば、機器のアフターメンテナンスに影響が及ぶと考えた方がいいだろう。
高度な研究と技術によって開発された医療機器にはメンテナンスが欠かせない。つまり、我々には周囲にいる人間や企業の力が必要なのだ。だが、医師の立場を利用した高圧的な値切りは、メーカーや担当者のサービス低下につながりかねない。彼等だって人間だ。理不尽な値切りには、腹を立て、うらみを抱き、手を抜くものだと考えておいた方が良い。むろんこれは、医療機器メーカーだけでなく、すべての人と企業に対して言えることだ。
我々は時に、医師という対場を利用して、何かに臨んでいなだろうか?どこかに、おごりは無いだろうか?医師という立場を利用して、人や企業と接していないだろうか?医師である前に、常識のある社会人であるだろうか?良識ある社会観がどこかで欠如してはいないだろうか?
いつからか私が、医師仲間と接する機会を避けるようになったのは、私自身医師でありながら、医師の持つこのような性質が受け入れられなくなっているのかもしれない。
もちろん、不当に高い値段を支払うことは絶対にあってはならない。しかし、後輩たちよ、周囲の人や企業に対して不当な“要求”、不当な“値切り”をしてはいないか、己の行動をしっかり振り返ってみてほしい。日本の医療を支える我々は、医師としての品格、医師としてのプライドを捨てることなく、絶えず懐疑的に自分を見つめることが必要なのかもしれない。