建築・内装の施工費用には、施工そのものにかかる施工費用の他に設計にかかる設計費用がある。
設計と施工を一貫して行う設計施工会社に設計を依頼した場合は、設計費用は小額で済むのだが、設計会社に設計や管理を依頼した場合は、工事金額の10%程度の設計費用が発生する。この費用を安いとするか高いとするか各々が判断することだ。私の場合は、運よく信頼出来る設計施工会社と出会うことが出来たため、設計会社と施工会社を分けて仕事を依頼する必要も無いのだが、そのような会社と出会えなければ、設計会社と施工会社を分けることが賢明かもしれない。
肝心の施工費用だが、高いのか安いのか、専門外の我々が判断することは不可能だ。そのため、施工費用が妥当な価格なのかを見極めるためには、設計者を味方に付けるという方法がある。
設計会社と施工会社に分けて依頼をする場合はまず、設計コンペを企画して設計会社を決める。設計会社を決める目的はあくまでも設計会社を味方に付けて、設計会社を通じて施工会社=施工金額を見極めるためである。設計コンペとは、決まった土地、あるいはテナントにおいて、どういうクリニック作りをするのか、複数の設計会社に提案(プレゼンテーション)をしてもらうことだ。その提案の中で、最も気に入ったデザインを提案した設計会社にデザイン依頼する。ただし、ここで注意しなければならないのは、見せ方は一流だが、実力は二流の設計会社だ。つまり、提案だけが得意な設計会社もあるということだ。
そして、選んだ設計会社と設計契約を締結する。設計契約とは、該当する土地またはテナントで開業するための基本的な平面図等を作成することだ。それに則り、複数の施工会社から工事金額の見積もりを取るのだ。これがいわゆるアイミツ(競争入札)だ。この競争入札があるために、各施工会社の見積もりが適正なのかを、設計会社がチェックするという流れだ。
ここで重要なことは、施工会社の能力の見極めだ。安ければよいというものではない。設計会社が見積もりをチェックした時に、いわゆる見積もり漏れが多くあったとすれば、その施工会社の実力は値段が安くて、能力も低いということだ。いずれにしても我々素人は施工金額を設計会社に管理させることが安全だ。もちろん、実際の工事の管理も設計者の仕事なので、工事の手抜きなども防ぐことができる。
設計施工会社に任せる場合のメリットは、何といっても設計にかかる費用が安いということだ。設計と施工を一貫して行う設計施工会社にしてみれば、自社でデザイン設計を自社で施工担当するのだから、責任を持った仕事をするはずだ。そのため、信頼出来る設計施工会社を見つけることができれば、それに越したことはない。ただ、やはり残念なことに実力不足の設計施工会社は多数存在する。他社より安すぎる見積もりを出してきたり、見積書に漏れが多い場合は、契約を見送るべきだ。よりよい設計施工会社を選ぶためにも複数の業者を比較し、最も誠実で熱心で信頼の置ける会社を選んでほしい。
設計会社、施工会社、設計施工会社、いずれを選ぶにしろ、医療業界でしっかり根を張っていて、施工した全てのクリニックの院長と信頼関係が継続している会社を選択することだ。もう一つ重要なことは、その業者の名前がどれほど知られていようが、業界の大手だろうが、担当者に責任感や説明能力、誠実さのどれかひとつでも欠けているものがあれば、必ず後悔することとなる。結局、最後は人間に対する信頼なのだ。